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宇都宮地方裁判所 昭和52年(行ウ)6号 判決 1979年8月30日

栃木県下都賀郡岩舟町静一、八七一番地一

原告

富田武

右訴訟代理人弁護士

大塚覚郎

佐藤秀夫

田中徹歩

栃木県栃木市本町一七番七号

被告

栃木税務署長

大山曻司

右指定代理人

布村重成

大平靖二

高塚育昌

大掛正二

柴一成

堀野冨士夫

主文

原告と被告との間の昭和五二年(行ウ)第六号所得税更正処分取消請求事件は、昭和五四年六月一五日原告の訴の取下によって終了した。

右訴の取下の後に生じた訴訟費用は原告の負担とする。

理由

(原告の昭和五四年六月二五日付け上申書と題する書面に基づく申立の要旨)

原告訴訟代理人大塚覚郎は、昭和五四年六月一五日当裁判所に対し、書面をもって本件訴訟の全部を取り下げる旨の意思表示をし、該書面の副本は直ちに被告指定代理人に交付され、被告指定代理人において、同日これに同意する旨の意思表示をし、当裁判所は、本件訴訟につき民事訴訟法二三六条の所定の方式に則り、同法二三七条一項により取下の効果を生じ、事件全部につきはじめから係属がなかったものとみなし、事件が全部終了しているものとして処理しているが、右取下は原告の知らない間に真意に反してなされたものであり、無効であるから、さらに、審理を続行されたい。

(当裁判所の判断)

本件記録によれば、右申立の要旨記載のとおり原告訴訟代理人大塚覚郎が書面をもって本件訴訟全部を取り下げる旨意思表示をし、かつ、該書面の副本の交付を受けた被告指定代理人大掛正二においてこれに同意する旨意思表示をした書面が当裁判所によって受理されていること、原告訴訟代理人は本件訴訟の取下につき、原告より昭和五二年九月二〇日付け訴訟委任状によって授権をされていることが明らかである。

原告は、本件訴の取下は原告の知らない間に真意に反してなされたものであるから無効である旨主張するけれども、訴訟行為の性質を有する訴の取下につき、前記のとおり特別の授権のある原告訴訟代理人においてなしているものであるから、原告主張のような理由によって本件訴の取下の効力が左右されるものではなく、他に本件訴訟の取下につき、その効力を否定すべき事由もないから、本件訴の取下は有効である。

よって、本件訴訟は、本件取下書の提出により、訴の取下によってすでに終了していることを明らかにするため、終了宣言をすることとし、右訴の取下の後に生じた訴訟費用の負担につき、民事訴訟法八九条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 奥平守男 裁判官 相良甲子彦 裁判官 安間雅夫)

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